あなたの症状は?
健康診断で尿に血が混じっていると言われた
尿路(腎臓・尿管・膀胱・男性であれば前立腺)に異常が発生している初期サインの可能性があります。検診で発見される血尿から尿路悪性疾患が見つかる可能性は4-5%程度でそれほど高くはありませんが、念のため最低限の尿路精査は受けておかれた方がいいと思います。
具体的には血尿の程度にもよりますが尿細胞診・尿路造影検査・超音波検査などをまず行い、それらの結果によっては膀胱鏡検査やCTなどを追加することもあります。
くれぐれも「私は以前から尿に血が混じっていると言われ続けているから大丈夫」と自己判断しないようにしてください。
以前の血尿は心配ないものであったかもしれませんが、人間歳をとれば各種悪性疾患の発生頻度も高くなりますので、病気の発見が遅れてしまうことがあるからです。
目に見えて赤いおしっこが出た
排尿時痛や腰の痛みを伴っている場合は、膀胱炎や尿路結石に伴うものの可能性が高いですが、特に痛みなどの症状もなく肉眼的にわかる血尿が出た場合は尿路に悪性疾患が発生している可能性が高いんです。
人間は痛みなどがないと
「まあ、疲れからやろ」
などと自分を納得させてしまいがちですが、腎癌・膀胱癌・前立腺癌などの尿路の悪性腫瘍は血尿以外にほとんど症状のないのが特徴で、発見が遅れること多いのです。
目に見えて赤いおしっこが出た方は必ず泌尿器科専門医を受診してください。
おしっこするときに痛い、うみのようなものが出た
膀胱炎や尿道炎の可能性があります。尿検査をすればすぐに診断がつきます。
おしっこが出しにくい、おしっこの回数が多くなった
50歳以上の男性の方では前立腺肥大症の可能性が高いです。若い男性の場合は前立腺炎をおこしているかもしれません。女性の場合は神経因性膀胱が関与している可能性があります。
急に側腹部、下腹部が痛くなった
咳などのかぜのような症状もないのに腰が痛くて高熱が出ている
尿路結石の可能性があります。尿路結石の場合、典型的な痛みを伴わず経過し尿路閉塞のために腎盂腎炎を併発していることもあります。尿検査やレントゲン検査で診断がつきます。
男性でまだまだ若いのになんだかしんどい、やる気がでない
男性更年期障害の可能性があります。一度ゆっくりお話してみませんか。
その他にも男性不妊症、勃起不全(ED)、尿失禁、夜尿症(おねしょ)、小児包茎などの泌尿器科の一般的な疾患の診療も行っております。
前立腺肥大症
前立腺は男性特有の臓器で膀胱の出口の尿道を取り囲むように存在しています。
若いころは精液の一部をつくる重要な臓器なのですが、
徐々に大きくなるため尿道を圧排することにより
「尿が出しにくい」「尿の回数が多くなる」「排尿後もすっきりしない」
などの症状が早い人では50歳ぐらいから出現するようになります。
排尿行為は毎日数回行うものなのでなかなかその変化に気付かれず、
患者様の中には腎臓の機能が悪くなってから来院される方もまれにおられます。
治療は膀胱の出口の筋肉を緩めるお薬が良く効くことが多く、
手術まで必要な方は全体の1-2割程度です。
「もう歳だから…」と勝手にあきらめられず、
排尿の調子が悪ければ一度泌尿器科を受診してみてください。
前立腺癌
最近確実に増えてきている疾患で、
アメリカでは男性の癌での死亡原因の2位にまでになっています。
また明らかに年齢が高くなると罹患率が高くなることがわかっている疾患で
70歳を過ぎると1000人に1人、80歳を過ぎると300人に1人ぐらいの割合で
前立腺癌にかかっているとする報告もあります。
厄介なのは前立腺癌特有の自覚症状はなく、昔はなかなか早期発見の難しかった疾患でしたが、
PSAという有用な腫瘍マ-カ-が発見されたおかげで
最近は早期に見つかることも多く、
治療面でもいろいろな方法が選択できるようになってきています。
当院では50歳を過ぎた男性には積極的にこのPSAのチェックを受けていただくようにしております。
膀胱癌
膀胱癌は女性より男性に起こりやすく、男性は女性の4倍の発症リスクだとされています。患者のうち、80%が65歳以上と高年齢層に多いのですが、45歳以上に範囲を広げると95%以上になるなど、40代、50代での発症もみられます。患者の約80%が初期に肉眼的血尿の症状があらわれるため、それをきっかけに見つかることが多いのですが、健診の尿検査やほかの病気での腹部超音波検査で見つかることもあります。
膀胱炎
外部から膀胱までの距離が短いという解剖学的な理由により
圧倒的に女性に多い疾患で、
排尿時痛・頻尿・残尿感などが代表的な症状であり、
ひどくなると肉眼的血尿まで出現することがあります。
8割ぐらいは一般的な大腸菌が原因であり5日間程度の抗生剤の内服で治癒しますが、
膀胱炎を繰り返しておられるような患者様には排尿障害などの基礎疾患が存在することが
ありますので尿路精査が必要です。
性病(尿道炎)
性行為から発病する疾患の総称が性病(性感染症)です。
感染機会から1-2週間で排尿時痛や膿の排出がが出現してきた場合にはまずクラミジア性尿道炎や淋菌性尿道炎等が考えられます。
また、ペニスに水疱やいぼが出現する性器ヘルペスや尖圭コンジローマのようなものが考えられます。
(感染はオーラルサービスからもおこりますのでご注意を!)
さらに接触部位から感染する全身感染症として、梅毒やエイズ(HIV感染症)などが考えられます。
尿道炎に対しては起炎菌にあった抗生剤の投与を行います。
性器ヘルペスに対しては抗ウイルス剤の投与を、
尖圭コンジローマに対しては外科的切除が必要です。(現在は当院では外科的切除は行っておりません。)
尿路結石
尿中のカルシウムや尿酸が結晶となって徐々に大きくなり尿路に結石ができることがあります。
よくあるケースが突然側腹部や背部に激痛が出現し、
時には嘔気・嘔吐まで出現し救急病院を受診したら尿管結石が発見されたというパターンです。ちなみに尿路結石の痛みは世界三大激痛のひとつと言われています。(他は心筋梗塞と群発頭痛の痛み)
7mmぐらいまでの小さな結石であれば自然に排石することが期待できますが、
大きな結石の場合は体外衝撃波や内視鏡を用いた結石砕石術が必要なこともあります。
結石ができる原因についてはまだまだわかっていないことが多いのですが、厄介なのは一度尿路結石ができた患者様には半数以上で2-3年後には結石が再発する可能性が高いという事実です。
尿路結石の中には再発を予防できるものもありますので、
尿路結石が一度でもできた経験のある方は最低限の泌尿器科的検査と定期受診されることをお勧めします。
【2021.12】ブログに書いた過去の記事をリンクしておきます。「尿路結石症~疫学編~」、「尿路結石症~成因編~」、「尿路結石症~治療編~」、「尿路結石症~診断編~」、「尿路結石症~予防編~」
包茎(小児の場合)
割礼の風習のない日本の子供さんの場合、通常包皮が完全に亀頭部を覆っている状態が普通であり、
包皮を少し根元の方へ引っ張ってみて尿道の出口が確認できるレベルであれば問題ありません。
尿道の出口がまったく確認できない場合でも一次的な癒着が原因で、
軟膏処置を併用したトレーニングをすることで亀頭部が見えてくるようになることが多く、
最近では小児の包茎手術はかなり適応が少なくなってきています。
ご心配であれば一度受診していただければと思います。
夜尿症(おねしょ)
おねしょは脳の発達とともに3-6歳ごろより徐々になくなってくるものですが、
3-4歳で30%、5-12歳でも10%の子供さんにみられるとする報告があります。
基本的には多少の個人差はあるでしょうが自然に治るものとあまり心配されなくてもいいかと思います。
しかしごくまれに尿路の奇形が関連していることがありますし、
おねしょが治らないのが膀胱の機能の問題なのか、
夜間多尿の問題なのかを鑑別することでおねしょをなくすのを早めることは可能ですので、
7-8歳を過ぎても週3回程度のお漏らしがあるお子様は一度受診していただくことをお勧めします。
尿失禁
尿失禁には咳をしたり階段を上り下りする時にもれるタイプ(腹圧性尿失禁)、
尿意を感じると我慢できずにもれるタイプ(切迫性尿失禁)、
排尿状態が極端に悪く残尿が多量で溜まりきらなくなった尿がもれるタイプ(溢流性尿失禁)
の3タイプが があります。最近では男女ともに頻尿と切迫性尿失禁が主症状の”過活動膀胱”が話題になっており、多くの薬がありますのでご相談ください。
過活動膀胱 (OAB: Overactive Bladder)
過活動膀胱は40歳以上の男女のおよそ14.1%が罹患しているとされている疾患です。症状は尿意切迫感が必須症状で、他にも頻尿(何回もトイレに行く)や切迫性尿失禁(急に強い尿意が起こってトイレまで間に合わずに尿がもれる)などの症状があります。治療薬には抗コリン剤やβ3受容体作動薬などがあります。過活動膀胱の診断や治療効果の確認のためには超音波検査や尿流量検査などを行います。(尿流量検査の仕方に関してはこのホームペ-ジ内の”ようこそ三浦クリニックへ”のページでYou Tubeの画像が見ることができます。)
勃起不全(ED)
勃起不全の原因はおおまかに、勃起に関係する血管や神経に原因のある器質性EDと
精神的要因が関与している心因性EDに分けることができます。
いずれにも以前は有効な治療薬がなかったのですが、
現在はバイアグラやレビトラと言った非常に有効性の高い内服薬があります。
ただし、勃起不全は保険適応のとれていない疾患のため保険外診療になることをご承知ください。
男性更年期障害
女性では古くから認知されてきた更年期障害ですが、
最近男性でも加齢による男性ホルモン低下に伴い
女性と同様の精神的・身体的障害が起こるとことがわかってきています。
個人的には男性の場合はホルモンバランスの変化がそれほど顕著ではない症例が多いことより、
軽症うつ病との鑑別が重要と考えています。
当院では必要により診療時間外に時間をかけてじっくりお話を聞かせていただきます。
男性不妊症
避妊行為なく2年以上夫婦生活を営んでいても妊娠に恵まれない場合を不妊症と呼びます。
昔は子供ができないのは女性側の原因とされる風習がありましたが、
子供ができない原因は男性側・女性側50%ずつであることがわかってきています。
男性側の検査としましてはまず精液検査を行い、
妊娠に必要な精子が存在するかどうかから検査は始まります。
男性不妊の原因の25-30%に精索静脈瘤という疾患が関係していることがあり、
この場合は手術を行うことで精液所見の改善、妊娠が期待できます。
この分野の最近の進歩は目覚しく、最近では顕微授精という技術により
極論すれば精子1匹いれば妊娠も可能という時代になってきています。
当院では近隣の泌尿器科では行われていない精液検査を行っており、過去男性不妊専門外来の経験を生かして男性不妊症の診察もしております。(八尾市、藤井寺市、香芝市からも来院されております)
【2021.12】ブログに書いた過去の記事をリンクしました。「不妊治療の昔と今」、「男性不妊症患者さんの診察」、「男性不妊症専門外来の経験」
神経因性膀胱
尿を溜めたり、尿を出したりすることはすべて自立神経で調節されています。
自律神経は脳の排尿中枢からはじまり脊髄、末梢神経へとつながっていますので、
この経路に異常があると排尿状態にも異常が生じる可能性があります。
このような神経が原因の排尿障害を総称して神経因性膀胱と言います。
具体的には脳梗塞やパーキンソン病、脊髄疾患、さらに最近増えてきている糖尿病も
重要な原因疾患のひとつです。
症状は症例により様々でありますので、排尿状態や膀胱機能、
さらに男性においては前立腺のことも考えて微妙な投薬の調整が必要です。
前立腺炎
急性前立腺炎と慢性前立腺炎があります。
急性前立腺炎は明らかな細菌感染が原因で、頻尿、排尿時痛といった症状に
時として高熱が出ることがあります。
慢性前立腺炎は症状そのものはそれほど激烈ではありませんが
前立腺そのもの以外にも下腹部、陰嚢部、大腿部にまで症状が波及することがあります。
慢性前立腺炎の場合には非細菌性のことも多く、
治療が長引くことがあります。いずれも前立腺炎そのものの治療に加えて、
炎症をおこした根本的な排尿障害などがないかを検索しておく必要があります。